「辺藝」と「みるとか みられるとか」

あるほなつきの新作『みるとか みられるとか』は、昨年のミナミハラアートウォークの野外展示作品がもとになった1冊です。

作品の展示場所は、西向沼という沼のほとりで、動物たちもたくさん生息している山の中でした。実際に、会期中、野生のサルたちが目撃されたり、熊が出た痕跡が見受けられたりしたのも、自然の中ならではの出来事でした。

『みるとか みられるとか』の出だしは、動物たち(?)の言葉から始まります。

ここにいても、いいでしょうか。
ちょっと、様子をのぞきに来ただけなのです。
なんだか、楽しそうだったから。

作品をみる。動物をみる。みるがあるということは、同時にみられるがあるということなのです。

「辺藝」で野外展示した今回の作品も、ある意味「みるとか みられるとか」に通じる視点があります。景色の中に描かれた人物がみているもの、その人物を通してみえてくるもの。

アクリルパネルには、今回の作品をみるきっかけとなる文章を添えています。

どこにでもある景色、どこか懐かしい感覚、この感じは、そう、あの時の、あの場所だ。
でも、思い出そうとすると、細部はもうぼやけていて、クリアになることはない。
記憶の不確かさと、脳が作り出す世界とが相まって、ストーリーはつくられていく。

どこかでみたような、記憶と記憶が繋がってみえてくる、そんなものを探しています。
こっちとあっち、どこだろう。冬の匂い、または、太陽の思い出。
とおいむかしの記憶、または、はじめてみる、おもいだせる場所。

さて、「辺藝」も後半に突入です。町を散策しながらのアート体験を、この機会にぜひ!

「辺藝」-ここで育てる- 信夫町を舞台にした現代アートの作品展 

期間2022年9/17~9/25
時間10:00~18:00 
場所 山形県米沢市信夫町周辺

また、『みるとか みられるとか』は、ブックユニオンたかはたさんにて発売中です。

そして、まむろ川温泉梅里苑ギャラリー囲炉裏にて『見るとか、みられるとか』の世界展も開催中ですので、こちらもぜひご覧ください。