本のかたち

今日は、本作りに関してのお話を少し…。

あるほなつきは2017年に、出版社るーつ企画を立ち上げてから、本作りについて独自で学び、試行錯誤を繰り返しながら、今まで本作りをしてきました。

本の中身、内容については、あるほとなつきそれぞれの持ち味を生かし、原案から構想、ストーリー作り、校正に至るまで、妥協せず時には喧嘩もしながら作り上げてきました。

問題意識、疑問に感じていること、表現したいことが常にあり、それらを形にしていくことはまさに、喜びでした。

製本については、私たちは全くのゼロからのスタートで、製本に関する本を全て買い試してみました。それぞれの本に書いてあることが、違うことも多々あったので、失敗をしてはなぜうまくいかないのかをつきとめ改善する、の繰り返し。

それは大変なことでしたが、そうまでして世に出したい、たくさんの人に見てもらいたいという思いは、自ら製本してまで本を作る強い原動力となったのです。

はじめは、32pの糸かがり製本でさえ、本文を押さえる指の力が続かなかったり、糸を引く力加減がうまくいかず、1冊をかがるのにも、だいぶ時間がかかっていました。

それならば、と、のり付けで製本する方法を考え、作ったのが『わがままナおうさま』です。

あるほなつきを語る上で欠かせないものとなった「空気シリーズ」の第一弾のこの作品は、針と糸を使わない蛇腹式の形にしてみました。

何ごとも、やってみないとわからないもので、実際作ってみると、のりが余計についてしまったり、ずれてついてしまって、きれいに作るのが非常に難しく時間もかかってしまいました。(あるほが治具を作り、徐々に改善されていきましたが)

「空気シリーズ」第2弾の『空気売りの少女』は、あるほが前々から作ってみたいと思っていた形がありました。

大人がゆっくりとゆったりと、ページをめくる時間を楽しむ絵本を作りたくて、その理想の形を追求して、作り込むこと約4ヶ月。

『空気売りの少女』は、たくさんの種類の本を作れるようになった今でも、作業工程が一番多い手の込んだ作品と言えます。

そして、「空気シリーズ」第3弾の『さがしています』は、それまでの「絵本」というカテゴリーには当てはまらないので、苦肉の策として「写真絵詩集」と名づけました。

あるほが撮りためた写真と、なつきが描きためた絵を組み合わせたものに、オリジナルの詩をのせた作品だからです。

この作品には『あやふやのまま』という対になる作品があり、パラレルワールドになっています。これが、「空気シリーズ」の第5弾です。

「空気シリーズ」の第4弾『AER』は、ストーリー原案は第1弾の『わがままナおうしま』と同じ時期にできていたので、第3弾になるはずでした。

内容をさらに膨らませたい部分があったこと、その内容を視覚表現するときに、写真や絵を自由に使いたいこともあり、今まで作ってきた32pではおさまりきらず、完成が先延ばしになっていたのです。

最終的に96ページになった『AER』は、alfonatskiの作品を収めた128pの画集を作る必然性が生まれたことで、ページ数の多い製本の技術を修得し、ようやく完成にたどりつきました。

このように、いつも「こんなことを表現したい!」が、先にあり、それを最大限に表現できる形を追い求めてきた結果、製本の技術が上がってきたと振り返ります。

内容あっての、本作り。

大変な作業をしてまで世に出したいものなのか、そのジャッジこそが、自分たちの作品が形になるか否かの分かれ目となるのです。