今日は和歌山へ。
いま、和歌山県立近代美術館では、日本を代表する造本家 大家利夫さんの企画展が開催されています。内容、材料、印刷、製本、頒布のすべてに心血を注ぐ、世界でもほかに類をみない個人出版社を立ち上げた大家利夫さんの企画展とあれば、製本を志す者としては、これは見ないわけにはいきません。
「コレクション展2023-夏秋」とも同時開催されていて、また、池田満寿夫の1960年代から80年代の作品も広島市現代美術館からたくさん作品が展示されていました。見どころ盛りだくさん!
古賀春江、川口軌外、萬鉄五郎などキュビスムやシュールレアリスムの影響を受けたような作品や、Ay-O、森村泰昌、マルセル・デュシャン、マーク・ロスコ、ジョージ・シーガルなどの現代アートまで、幅広い作品群を楽しむことができました。
池田満寿夫の特集では、リトグラフやドライポイント、メゾチントの作品群がずらっと60点以上も1度に鑑賞することができて、とても得した気分でした。
そして、いよいよ「特集:本のために―大家利夫の仕事」。
ここまでの展示もかなり見応えがあったのですが、ここからまたさらに時間を費やすことになりました。
1冊1冊、その丁寧な仕事を見ていると、時間が経つのを忘れました。こだわりの手仕事、洗練されたスタイルに心奪われました。
造本を手がけた作品の挿絵の展示もあり、これもまた素敵でした。
最後まで見終えてもなお、またもう一回見たくなり、戻ってまた見るという、なんとも熱心なお客さま。大満足です。
外に出て、売店コーナーを見ると、過去の企画展の図録が半額になっていました。ここぞとばかりに、山本容子さんの画集を買いました。
集中して見たので、少し疲れて、外のベンチで休もうとしたとき、おもしろいものを見つけました。
そうか!この建築自体が、黒川紀章の設計だったんですね!どうりで、いちいちおもしろいなぁと思っていました。
いやあ、和歌山県立近代美術館、予想を遙かに超えて良かったです。
そしてそのあと、せっかく和歌山に来たのだからと、渋谷にあるMOTOYA Book・Cafe・Galleryのブックイベントで知り合ったデザイナーさんを訪れることに。
その方は、オフィス兼自宅の裏に生えているコウゾで、ご自分で紙を作って作品をつくっている方です。
コウゾを蒸す木箱や、蒸した皮を潰す機械など、紙を作るために工夫した道具がいろいろあったり、柿渋を使って制作途中の紙が干してあったり、目にとまるもの全てが興味深い!
お家の中では、紙作りについてはもちろん、本作りについてや、デザイナーの仕事の話など、本にまつわる話題が尽きず、あっという間の時間でした。
今度はぜひ山形の工房にも!
和歌山をあとにして、明日は伊勢まで行く予定です。