今日5月16日は、松尾芭蕉が「奥の細道」に旅立った日にちなんで、旅について考える日なのだそうです。
それならば、「本をつくって旅をする」あるほなつきも、今日は存分に旅について考えてみようと思います。
あるほなつきは2017年から本作りを初め、作りたい本を作り続けてきました。その間、その本を皆さんに知っていただく活動の方は、なかなか思うようにいかないところもありましたが、ようやく昨年、山形県内全部の図書館をめぐる旅をスタートさせ、今年の3月にゴールしたところでした。
その間に、今度は全国の図書館へと広げていきたい気持ちがわき上がり、そのためには本を作りながら、販売しながら旅ができる車が必要になってきました。そこで、「本をつくって旅する車」あるほなつき号を作ることになったのです。
あるほなつき号が完成して、初めて遠出をしたのが、北海道は剣淵町にある剣淵絵本の館でした。
出版社が応募できる、けんぶち絵本の里大賞に昨年初めてるーつ企画で2冊応募したことをきっかけに、実際に展示しているところを観に行きたくて旅に出たのでした。
それから2023年になって山形県全部の図書館に絵本を寄贈する旅も終わりを迎えたところで、本格的に全国各地へ行く計画を立て始めました。
まず初めに向かったのは東京でした。
東京にいくきっかけは、渋谷にあるBook.Cafe.Gallery MOTOYAで開催されたブックイベント「BOOK LOVERS」に、『AER』を出品したことにありました。本を作っているみなさんの作品を実際に手に取って見てたみたかったし、また、作家同士の交流する機会もあったので、ぜひ行こう!ということになったのです。
せっかく東京に行くのだから、それだけではもったいないので、東京に住むクリエイターの仲間との会食や、観てみたかった展覧会を巡ったり、行ってみたかった書店を巡ったり、新作のための撮影もしました。盛りだくさんの一週間でした。
それから役一ヶ月後、今度は山形秋田岩手宮城の旅に出ました。こちらは、秋田市の文化創造館で開催された「お堀端の古本市」に出店するのがきっかけになりました。
こちらの古本市では、隣のブースの方をはじめとして、出店者同士、本を通じて交流することができ、その後もInstagramやTwitterなどでもつながりを持ったりと、良い出会いがありました。
東北の旅も、本にかかわる場所へ行く中で、行く先々でのものや人との出会いを楽しむ旅となりました。
最近になって思うのは、どこかに出かけるのが旅ではなく、生きていること、人生そのものが旅なのだということです。工房に戻ってきてからの日々も、製本をしたり、図書館へ行ったり、ワークショップを開催したりと、毎日を記録に留めたいものだと感じています。毎日の記録が一冊の本になる。いずれは、そうなっていくのではないでしょうか。
松尾芭蕉が旅をしながら句を詠んだように、あるほなつきもまた、日々を行きながらに本を作っていけたらいいなと思っています。