昨日、友人から素敵な本が届きました。
フランス語の翻訳を生業としはじめた彼女が手がけた最新作です。パラパラとページをめくってみると、新しい印刷物の匂いがして、とてもわくわくする気持ちになりました。まだ初めの方しか読んでいませんが、フランス語特有のことばのリズムを感じます。
あるほもなつきも、小学校の時にモーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズを日本語訳で読んでいたことを、前に話していたことがあります。
当時のフランス文学とのほとんどの接点は、堀口大學さんの訳であり、コクトー関連も彼の訳文でよく読んだことを思い出します。
大学1年の仏文の授業で、モーパッサンの脂肪の塊を訳出したことも今となれば良い思い出です。言葉の持つ雰囲気をも訳出したいと強く感じたように思うのです。そのような経験から言葉や場面にまつわる感覚を捉えてくれそうな彼女に、あるほなつきの『空気売りの少女』をフランス語に翻訳してもらったことは、必然だったように思います。
実際にお会いして打ち合わせをしたその時も、彼女は私たちの言葉の表現のニュアンスひとつひとつに丁寧に対応してくださり、文化の違いから来る受け取られ方の違いなどにも気をつけながら、翻訳してくださいました。
今ではこの『La petit marchend d’ air』は、あるほなつきのhonnanbooksシリーズの人気の一冊となっています。
冬の夜長に、彼女から届いたこの本を、じっくりと読んでみたいと思います。