こんな感じで、あまりよろしくない空気のなか、木の玉を並べて、こんなストーリーはどうか、と考え始めた。そしたら、あるほさんがまた、ぽつり。「ひとりで考えたら、なにも面白くないじゃん。ふたりで考えだすから、可能性が広がるわけでしょ!」 そうか。その通りだな!そう思ってから、ストーリーが出来上がるまでは時間がかからなかった。あっという間に小一時間でいくつもストーリーが生まれたのだった。 「これはお父さんで、これはお母さん。これとこれと、家族にしよっか!」 「ウェートレスっぽいのもいるから、ファミレスで食事したらいいんじゃない?」 「動物もあるから、ペットにしよう」 「お父さんは、とりあえず生、頼むよねぇ」 「おじいちゃん、焦って注文する前にソフトクリーム頼んじゃう!」 …こんな感じで出来上がったのが、木の玉っころちゃん②に収録されている「外食」である。 ふたりとも大変気に入ってた、黄色い髪の毛のにっこりと笑った女の子。 泣いたり困ったりしている子を集めて並べて、どうしょうどうしょう言っていたら、この子がどーんと前にでてきて、「まったくもって、だいじょうぶ」って言った。 この木の玉たちは、私たちがわざわざ何かしかけなくても、勝手に向こうから何か喋ってくる。木の玉同士が喋り始める。私たちはそれを聞いているだけで、ストーリーが生まれるのだ。 あるほさんの一番のお気に入りの赤い傘の女の子。私の一番のお気に入りのスイカ。この二つは、”雨”をテーマにつながった。雨が降って残念と思う子もいれば、うれしいものもいる。そう思うときもあれば、思わないときもある。 この「あめ」というタイトルのおはなしは、一番最初に出来たストーリーであり、木の玉っころちゃんを通して あるほなつきが伝えたいことや、行間、余白とは、どんなものなのか、またその可能性を、知る作品となった。 この木の玉たちが”木の玉っころちゃん”と名付けられるのは、また次のおはなし。 …続く。]]>