本との親しみ①〜なつき編〜

幼少期の私にとって、本はとても身近なものだった。

茶の間の本棚には、再従兄弟のお姉ちゃんからもらった、きれいな絵の童話全集が 並べられてあり、小さい頃は、ただページをめくり絵を眺めるだけでも楽しかったし、祖母のお膝で読んでもらうのが嬉しかった。

両親は、私が小学校1年生の頃、誕生日かクリスマスか忘れたが、100冊を超える日本昔話全集と世界の童話集をプレゼントしてくれた。小さくて薄い本だったけれど、全部挿絵も違っていた。有名な昔話やグリム童話もたくさんあった。知らないお話もたくさん。

私は夜寝る前や、風邪で学校を休まなければならないときは、布団の脇にこの小さな本を山積みにして、かたっぱしから読んだ。幼い頃の病床のイメージは、これらの本を読んだことだけだ。本を読んでいると、布団の中での一日も、あっと言う間にすぎたという感覚だった。

数ある日本昔話の中で私の1番のお気に入りは、「三枚のお札」だった。何度も何度も読みすぎて、ボロボロになったほどだ。

ハラハラドキドキしたり、ほっとしたり、笑ったり。なんと楽しいの!

小学校二年生の時のクラスのお楽しみ会で、班ごとに出し物をすることになり、私の班は紙芝居をすることに決まった。そこで私は画用紙を家に持ち帰り、絵本の絵を写した。

これが、初めての絵本(的なもの)の製作だったろうとふりかえる。時間も忘れ、茶の間で無我夢中で描いたっけ。

世界の童話の中での1番のお気に入りは、「がちょうばんのむすめ」というグリム童話だった。

大好きで、何度も何度も読んだ。召使いとお姫様が入れかわるお話。だって、お姫様が羨ましいんだもの!召使いのそんな気持ちは、当たり前のようにおもった。

今でも鮮明に覚えているのは、ハンカチについた3滴の血が喋るシーン。血痕が喋ってお姫様を助けるのだが、その絵を大人になってからも思い出すのは、なんなのだろな…。

その当時は絵本作家ではなく、マンガ家になりたいという夢をもっていた。

中学にあがり、自分だけの部屋をもらった私が、部屋の本棚にびっちりと古い文学全集を並べ、壁には芥川龍之介の顔写真や河童の絵を飾るようになるのだが、それはまた、次のおはなし…。

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