本との親しみ②〜なつき編

 中学にあがった私は、念願の一人部屋を手に入れました。それまで物置として使っていた北側にある薄暗い部屋だったけれど、それがまた私の気に入った!家具は、昔住んでいた古家から、良さげなものを運んできました。

古家を物色していた時、私の目は輝いた!本棚にびっしりと並べられた日本文学全集を発見したのです。森鴎外に、夏目漱石、芥川龍之介、永井荷風、吉行淳之介、太宰治、菊池寛etc…。こんなの部屋に置いたら、かっこいいんじゃない?!

母に誰のものか聞いてみると、それは父が高専時代にアルバイトして買ったものだという。父は買うだけ買って、全く読まなかったらしい!長い間開かれもせず眠っていたこのお宝は、娘がいただくことになったのです。

 ひととおり読んでみたけれど、私が何度も何度も繰り返し読んだのは、芥川龍之介。『鼻』『蜘蛛の糸』『河童』『歯車』いろいろ良いけれど、『藪の中』『アグニの神』おもしろかったなあ!それに、芥川自身がかっこよくて  、図書館から芥川の図鑑みたいなでっかい本を借りてきて、写真とか芥川が描いた絵などをコピーして、額やフォトフレームに入れて部屋に飾っていたのでした。

当時のバンドブームに乗って、Theピーズやニューロティカにハマるのと時を同じく、この芥川熱は続いていきます。そして大学時代、アルバイトして貯めたお金で、毎月一冊出る芥川龍之介全集を買うという…。

血は争えませんね!

続く

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